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■三湖伝説2・たつこ伝説■

 昔々、まだ田沢湖が無かった頃、このあたりにたつこという娘がいた。 たつこは幼い時に父を亡くし、母と二人暮しをしていた。また、たつこは生まれながらの美人で、 性格も親切で優しく、村人の誰もがたつこをかわいがっていたのだった。

 年を重ねるにつれてたつこの美しさにはますます磨きがかかり、その噂は近隣に鳴り響いた。 ある日、たつこが小川で髪を洗っていた時、川面に写る自分の姿に思わず見とれてしまい、 「今はこのように美しい自分だが、やがて年をとってよぼよぼになってしまうだろう。 どうにかして若さを保ちたい」と思うようになった。そして、思い悩んだ挙句、神仏に願うしかない と思い立った。
 たつこは、裏山の神社に百日参りをすることを決心した。母が寝てしまった後、こっそり 起きだし、恐ろしい山道を毎晩毎晩通った。やがて山の景色がうっすらと白くなってきた頃、 満願の日となった。そして、その日の参詣の時、たつこに語りかける声があった。 「ここから北へ一里ばかり、清い泉が涌き出ている。雪が解けたら、その水を飲むが良い。 そうすればそなたの願いはかなうであろう。」たつこは身も振るえんばかりに喜び、雪が解けるのを ひたすらに待っていたのだった。

 やがて春が来た。たつこは近所の友人とお告げにあった北の方へ山菜をとりに出かけた。 果たしてそこには泉が涌き出ており、小川も流れていた。丁度昼時であったが、友人は 「まだ山菜をとってくる」と言って、再び山の中へ入っていった。 ふと小川を見るとそこには魚がたくさん泳いでいて、素手でもつかめるほどであった。たつこはそれを捕まえ、焚火で焼いて待っていた。
 しかし、魚が焼けるにつれてその香ばしい においに誘われ、たつこは「一匹だけなら」という気持ちで一匹食べた。しかし、なぜか次から 次へと欲しくなる。とうとう焼いた魚を全て食べてしまった。すると、今度は猛烈に咽が乾いてきた。 たつこは泉に駆け寄って水を手ですくい、飲んでいたが、どうにも乾きが収まらない。気がつけば、 腹ばいになって水をガブガブ飲んでいた。そして、ふと水面に写った自分の姿を見ると、 なんとそこには恐ろしいの姿が写っていた。同時に天地がひっくり返るほどの雷鳴と共に大雨が 降りだし、どどーんという轟音が響いたかと思うと今まで野原だった所が一気に陥没し、 大きなが出現したのだった。

 友人はたつこを探したが見つからず、里へ帰り、たつこの母に事の次第を伝えた。母は急いで その場へ行き、新しくできた湖に向かって娘の名を呼んだ。すると湖面から恐ろしいが姿を 現した。母は、「私が探しているのはおまえのような醜いモノではない。たつこはどこだ」 とに言った。するとは元の美しいたつこに姿を変え、彼女の身に起こった出来事を伝え、 「このような姿になって申し訳ありません。その代わり、魚が欲しくなったときには、 いつでもお届いたします」と言って、再び消えてしまったのだった。

 母は悲しみ、泣き叫んだが、どうすることもできず、一人とぼとぼと家に帰ったのだった。 それからというもの、母が「魚が欲しい」と思うと、いつの間にか家の水槽に魚が入っていた ということである。そして、この時できたが、今の田沢湖だという。

参考 田沢湖のパンフレット


◆またたびの独り言◆

 日本一の深さを誇る田沢湖。その深い色合いは、四季折々の美しさを見せてくれる。そして、 田沢湖のシンボルといえば、船越保武作の黄金のたつこ像。たつこ伝説は、永遠の美を望んで竜に変化してしまった少女の、ちょっぴり悲しいお話である。像の前では、記念撮影をする観光客でいっぱい。
 そして、ぐるっとまわって対岸には、「御座石神社」。ここはたつこが湖に入水したところだそうで、ここにもたつこ像がある。また、ここの裏山にはたつこが鏡に使ったという鏡石もあり、伝説巡りには必須の場所である。
 もうひとつ、見逃しがちなのが、秋田新幹線田沢湖駅。田沢湖からはけっこう距離があるが、中にはたつこ伝説を説明したパネルがあり、これを見てから 田沢湖に行くと、よりいっそう理解が深まることであろう。


金のたつこ像。

御座石神社の鳥居。

御座石神社にあるたつこ像。

鏡石。

田沢湖の様子。

田沢湖その2。

★関連伝説地★

●三湖伝説
南祖坊誕生
(青森県名川町)

八郎と南祖坊
 (青森県十和田湖)
八郎潟
 (八郎潟)

●大蛇変化
平筒沼の大蛇伝説
 (宮城県豊里町)
八郎と南祖坊
 (青森県十和田湖)
角塚古墳
 (岩手県胆沢町)

★アクセス★


田沢湖の西南に金のたつこ像。観光地なのですぐわかる。御座石神社はぐるっとまわって北西。そこの裏山に鏡石が。


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