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■平内町の伝説■

●諏訪神社の兜

 
 口広にある。昔、松前藩公が江戸へ参勤のとき、海上で難船した。 このとき大切にしていた諏訪の兜を海に投じて海神に祈ったところ、不思議に波も静まり、江戸へ安着することができた。
 その後松前から三厩に渡海のおり、また暴風で船も危なくなった。すると暗夜に一筋の光明が見えるので、その光を目当てに船を進めると、無事に海岸に着いた。そこは平内町の口広で、小さなお堂があった。見ると先に海中に投じた兜がいつのまにかこのお堂に安置され、それが光を放ったことがわかった。
 この奇瑞に感謝して、お堂を諏訪神社と改めて祀ったという。。


(『青森の伝説』(角川書店)より(以下角川))

●錦木塚

 
 小湊にあった。
 昔、男が想う女の家の前に、求愛のしるしとして5色に彩った30センチほどの木(錦木)を立てる慣わしがあったという。女に応ずる心があればこれを取り入れ、不承知なときはなお男はこれを続けて、千本に及ぶこともあったという。

 天慶のころ、平将門に仕えた善知鳥文治安方は、主君将門を諌めたが聞き入れられず、そのため主家を離れて旅に出た。安方の妻錦木は夫の後を慕ってこの地まで来て死んだ。村人は哀れんで塚に埋め、桑の木を植えてしるしにしたのがこれであるという。

 病にかかった人がこの塚に祈れば効験があったという。(角川)

みちのくの歌枕として有名な錦木塚。秋田県鹿角市などにもあるが、伝説の内容はずいぶんと違うようだ。

●雷電宮

 
 浅所の近くにある。坂上田村麻呂が蝦夷の平定を祈願し、雷神をここに祀ったという。

 この雷電宮のおかげで、平内町には雷が落ちないといい、このお宮を信仰する人は落雷にあわないともいう。
 境内にここで死んだ白鳥を祀った白鳥塚がある。白鳥は雷電宮のお使いであると信じられている。(角川)


●化島

 
 東田沢の海岸にある小島は、朝と夕方では姿が変わって見えるという。それで化島とよんだ。形の大小はもとより、遠くなり近くなり、また濃く淡く見えるなど変化するさまは、生き物のようだといわれた。この島の変化で、村人は天候を占ったという。(角川)

●アネコ坂

 
 茂浦部落にある。以前はこのあたりに古狐が棲んでいる寂しいところであった。
 夜中にここを通る村人があれば、狐がアネコ(娘)に化けて行灯を燈し、針仕事をしている姿を見せたという。
(角川)

●オコリ石

 
 土屋の海岸に高さ2・5メートルほどの突出した自然石があり、これをオコリ石といった。
 村人がオコリ病にかかったときは、この石の頭にワラの鉢巻をしてやると、きっと治してくれると信じられていた。また沖に難破船があると、石の頂に灯火が現れて船の目標になり、よく危難を救ったともいう。
(角川)

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