その昔、土地のある人が、この石の形状に惚れて庭に運んだところ、夜な夜な庭の一角から泣き声が聞こえる。眠られぬまま泣き声のするところを探ってみるとどうやらこの石のあたりなのだが、あたりには人影も無い。気味悪くなって元のところへ戻すと、その夜からバッタリと泣き声はしなくなったという。
また、喜楽屋の先々代が家を建てるにあたって、土台石にと運び込んだところ、腰痛に見舞われ大変難儀をした。拝んでみると、この石の祟りだったという。
この石は以前、那須野ヶ原にあって、空行く鳥などもこの石の上を通るとたちどころに落ちてしまったというし、回りの草木は生えても枯れてしまうことから、人々は憂い恐れて高名な祈祷師に石の正体をあばいてくれるようにたのんだ。
祈祷師が呪文をとなえるとこの石は、九つに割れて各地に飛び散ったが、そのひとつが白鳥村のもので、正体は白面九頭九尾の狐だったという。それを知った当人は、初午にはしめ縄をはりめぐらして、あずきご飯や油揚げ・卵などで供養したという。
参考 『われらが郷土・磐崎』