その昔、代掻きを終えた馬方が長孫川で馬を洗い、馬小屋へ入って、馬具をはずすために馬のわき腹の方へまわってみると、なんと、馬の尾の付け根のところに、河童がぶらさがっていた。
馬方が驚いて大声を上げると、馬もびっくりして後ろ足を蹴り上げた。その勢いで、河童は地面にたたきつけられてしまい、打ち所が悪かったのか、逃げる様子もなく、地面でもがいているのだった。男はもがいている河童に桶をかぶせ、河童は生け捕りとなった。
すぐに近所の人たちが駆けつけ、この河童をどうするかという話になった。「河童は悪いやつだから、殺してしまえ」という意見も出たが、「この川で河童が悪さをするのを聞いたことがない。可愛そうだから助けてやれ」となって、それに決まった。
桶をとってみると、なにやら桶に字が書いてある。河童は、自らの指をかみきり、血で次のように書いたのだった。