いつごろから生まれ棲みついたか、はっきりしませんが、松川沖に1匹の大きな鮫がいて、ときどき、波打ち際に姿を現すことがありました。その鮫は、真っ黒で、背中には海ゴケが生え、ちょうど磯石のように見えました。
土地の漁師たちは、大変この鮫を敬い、「松川さま、松川さまがお見えになった」と言って、鮫が海から姿を現しますと、みんなが囃し踊って、酒やご馳走をささげたりしていました。
松川さまは、年に一度、必ず菊田浦から川を遡り、御前淵と呼ばれるところに移り住みました。このことから、この川の名前を鮫川と呼ぶようになりました。
参考 『なこその民話』