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鮫の松川様 
 

 いつごろから生まれ棲みついたか、はっきりしませんが、松川沖に1匹の大きながいて、ときどき、波打ち際に姿を現すことがありました。その鮫は、真っ黒で、背中には海ゴケが生え、ちょうど磯石のように見えました。

土地の漁師たちは、大変この鮫を敬い、「松川さま松川さまがお見えになった」と言って、が海から姿を現しますと、みんなが囃し踊って、酒やご馳走をささげたりしていました。

 松川さまは、年に一度、必ず菊田浦から川を遡り、御前淵と呼ばれるところに移り住みました。このことから、この川の名前を鮫川と呼ぶようになりました。

参考 『なこその民話』

   
 

 鮫川上流の鮫川村では、「鮫が川を下っていった」という伝説があり、河口にあたるいわき市では、「鮫が川を上る」という伝説がある。上流と河口でリンクされた伝説があるとは、非常に興味深い。

 ちなみに、この鮫、紫肝の人間を非常に好んで食べたという。元旦生まれの人は紫肝だと言われ、また、船上からいっせいに手ぬぐいを海に向かって投げて、もし手ぬぐいが沈めば紫肝だとみなされ、鮫の生贄にされたのだという。

 

勿来海水浴場。

勿来海水浴場その2。
 

鮫川河口付近。

いわき市植田にある鮫川橋。
   
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いわき市。植田町の沖、鮫川の河口付近を菊田浦と呼び、勿来の海水浴場のあたりを松川磯と呼ぶ。このあたりの海を、松川様が回遊していたのだろうか。
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