■牛淵
古田地内に入旅人川に牛淵とよばれるところがある。
古老の話によると国道を隔てた山側には昔細長い畑があり麦を作っていた。
しかし、春になって麦が伸びるといつの間にか刈られてしまうので、なんとも不思議に思い、ある朝これを確かめようと行って見ると、
畑の中は牛の足跡だらけであった。
この牛がどこから来るのかと足跡を追ってみると、なんと淵からよじのぼってきたと思われる跡があるのを見つけ、牛の棲む淵ということで牛淵の名がついたという。
■かない淵
古田地区にかない淵というところがある。そこは毎夜手が出てきて畑を荒らして仕方が無かった。人が近づくと、「かない、かない(喰わない、喰わない)」と手が川の中に入っていったのを見た人がおり、それから「かない淵」と言われたのだという。
■鼎(かなえ)淵
古田地区に鼎(かなえ)淵というところがある。この淵は鼎のようで深い滝壷であった。この滝壷に石を投げ入れるとその石が岸に流し上げられないうちは雨が降り続き、洪水になると言われ嫌われたのである。
子供のころ「誰さんは淵に石を投げ込んだ、だから雨降りになったんだ」と親たちに言われ、小さな胸に大きな責任を感じたものであった。
参考 『たびとの民話』(いわき市田人地域振興協議会)