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幽霊の墓
 

 会津保科正之の家来に、阿蒲太郎左衛門という人があった。この男の妹は他家に嫁したものの、なぜか早死してしまった。そしてその死に臨み、死骸は実家の墓地に葬ってくれと頼んだのであるが、その頼みは聞き入れてもらえず、夫の家の墓地に葬られた。

 そこで女は幽霊となり、正法寺二世斧山和尚の前に姿を現して実家の墓地に改葬してくれるようにしきりに哀願したのだった。

 哀願を受けた和尚は、霊の迷いを鎮めるべく戒を授け、その死骸を改めて寺内にある実家の墓地に改葬し、「即身成仏」と刻んだ墓碑を建ててやった。それからというもの、女の幽霊は二度と姿を現すことはなかったという。

 そしてそれ以来、この墓は幽霊の墓として知られるようになったのだという。

参考 『会津の歴史伝説』(小島一男・歴史春秋社)

   
   会津若松城下の正法寺に伝わる幽霊伝説。斧山和尚の霊験譚になっていることを考えると、寺院が流布した話なのかもしれない。

 さて、寺院の山門をくぐると、すぐ左に墓がずら〜っと並んで建っている。その丁度真ん中あたりに、あったあった、「即身成仏」。伝説のある墓のわりには半分うずもれかけているが、無縁仏として整理されてしまった結果らしい。ということは、子孫の方はいらっしゃらないということだろうか。
 

早朝の正法寺。


これが幽霊の墓である。

   
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会津若松市慶山。市内から東山温泉へ向かう道の途中である。墓は、山門をくぐってすぐ左の無縁墓地にある。

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