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 昔、磐梯噴火のとき山から夫婦猫が逃げて来た。長瀬川にさしかかり、男猫は強いから川を渡って逃げのびたが、女猫は遂に川を越せなかった。
 それで女猫は渋谷で猫石と化し、男猫は白木城に生きながらえて妻の石の参拝をかかさず一生を終ったという。

 この猫石のお祭りは旧暦四月十二日で、お参りに行ったとき笹の葉を取ってきて、家の神棚に献じればネズミが出ないといわれ、養蚕の盛んな時代には相当な参拝人かあり、祭りも賑わったとのことである。なおこのお祭りの日には、御札を印刷して授与していたが、今はもうその人もいなくなった。

参考 『猪苗代町史』

   
 

 これは探すのになかなか苦労したが、それだけ発見したときの喜びはひとしおだった。とりあえず渋谷の集落にて聞き込みを開始したところ、「スキー場の手前」「昔の学校の跡地」などというキーワードが得られ、好感触。「昔はお祭りもしていたが、今はどうなっているかなぁ・・・」というおばあさんの談であった。

 この調子だと楽に見つかるな・・・と、その跡地へは行ってみたものの、まわりは林にかこまれ、草ぼうぼうで、もちろん人っ子ひとりいない。さて、どうしたものか。悪いことに、あたりの林の中を見回すと、もっともらしい岩がゴロゴロしている。磐梯噴火の関係だろうか。車を止め、トボトボ歩きながら、岩をひとつひとつ見てまわる。小祠やおみきのひとつでもあるかもしれない。あの岩は・・・この岩は・・・。

 歩き回ること十数分、もうだめだ、あきらめよう。あるいはもう一度戻って聞いてくるか・・・。と、左手の谷間にふと目をやると、なにやら岩のカタマリが突き出している。デカい。今まで見てきた岩塊なんぞくらべものにならないぞ。・・・そう、最初に見ていた岩たちのせいで、すっかり猫石のスケールを勘違いしており、そのサイズの岩(人間大くらい)ばかり目についていたのである。

 これだ!と「怪勘(怪しきモノを察する勘)」が働き、ツタや雑草をかきわけながら谷間へ下りていってその岩を見上げると・・・「猫だ!!」
なぜゆえそれが猫石と呼ばれるか。なんと、見た目が猫なのであった(笑)。とにかくばかでかい猫が、にゅっと顔をつきだしている。間違いない。・・・いや、間違いかもしれないが、そのときはこれはMy猫石だ。

 強烈な出会いにしばし我を忘れ、立ち尽くしてしまった。帰り際、岩の上に上っていわゆる「猫の背中」をつたい「猫のひたい」に行ってみると(これがまた本物の猫っぽいんだわ)、やはり小祠があった。確信度は上がった。この旅で一番の興奮であった。ありがとう、猫石・・・。(2006.03.22)

 

猫石を下から眺める。


猫石の頭の上にある小祠。

   
  mapion
猪苗代町字グミ原沢。国際スキー場へ登る道の途中、北へ向ってダート道がのびている。道は昔の学校施設の跡地に通じているが、その跡地へついたら車を降りてそのまままっすぐ進もう。すると右手の谷間に大きな岩が見える。

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