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化物地蔵
 

 夜がふけてあたりがすっかり寝静まったころ、トントンと酒屋の扉を叩く者がある。主人が扉を開けてみると、暗闇の中に誰かが立っていた。

 そのものは手にした笊をつきだして、「これに酒をついでくれ」といった。主人は、「そんなものに酒はつげないよ」と断るが、一向に帰ろうとしない。仕方なく主人は笊に酒を注いだ。すると不思議なことに、酒は一滴もこぼれることなく、笊に満たされたのだった。

 それからは、毎晩のように夜がふけると決まって酒を買いにくるようになった。一体これは誰だろうということになり、ある夜、主人がそのものの後をつけていくと、普賢寺の東北にあたる地蔵堂のそばで姿が見えなくなった。

 これはきっと地蔵さまが買いにきていたのだろうということになり、それからその地蔵さまはお化け地蔵という名で親しまれるようになったのだという。

 今の槻木内の大方家の裏に祀られている地蔵さまがそれである。

参考 『小野町史』

   
 

 「酒買い地蔵」として普遍的なお話。タイトルは「化物地蔵」なのに本文では「お化け地蔵」になっている。何故?と言われても、町史にそう書いてあるんだから仕方が無い(笑)。ま、どっちでも同じようなものである。

 さて、このお地蔵さん、県道の裏の路地になかなか立派に祀られているのだが、面白いことに、口元が濡れて変色している。これはどうやら、お酒を流した跡のようだ。足元にはお酒がお供えしてあったから、きっと伝説にちなんでお酒をのませてあげているのだろう。

 ・・・それとも、夜中にお地蔵さんがひとりでに動き出して・・・!?

 

化物地蔵。



地蔵のアップ。口元が濡れている。


   
  mapion
小野町小野新町。これはちょっとわかりずらい。県道からちょっと入ったところに、県道と平行するように走る小路がある。その小路の東のちょっと小高いところに地蔵が祀られている。細い道なので、車は注意。

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