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五輪塚の化け猫 
 

 蟹沢の裏山、通称五輪坂というところに、二基の五輪塔がある。塩沢家の墓所ではないかと言われている。

 昔、ここに五輪塚真十郎という化け猫がいた。この猫が毎晩のようにでかけては朝帰りするので、不審に思った飼主がこっそり後をつけてみたところ、今の南宿、粟踏石までやってきた。
するとどうだろうか、そこには何匹もの猫や狐たちが歌に合わせて踊っているではないか。「ていらてい松五輪塚真十郎横内の紋次郎がこないうちは、さっぱり調子が揃わないネー」と歌っていたという。

 ある夜、五輪塚真十郎がいつものように座敷から抜け出そうとするところを、おばあさんが見つけ、「コラ毎晩どこへ行く」と鋭く叱ったところ、真十郎は大いに驚き障子を破って飛び出した。そのときかぶっていた網笠を置き去りにして、それ以来、家に戻らなかったということである。

 なお、歌に出てくる紋次郎も、これまたある晩でかけるところを主人に見つかってきつく叱られてからは、家にもどらなかったと言われている。

参考 『玉川村史』

   
 

 夜な夜な集まって歌い踊る動物たち。なんと愉快なことだろう。真十郎や紋次郎のように名のある猫や狐は、かつてはどこの里にもいたに違いない。

 さて、伝説に出てくる五輪坂は、かつて使われていた山道にある坂で、現在はほとんど使われていない細道である。地元の人に案内してもらうと、その道からさらに奥へ入った林の中に、ちょっとした墓地があって、そこに大きな五輪塔が2基立っていた。真十郎は、この辺りをウロウロしていたのだろうか。

 ところで、伝説中にもうひとつ、粟踏石というのが出てくるが、これは数十年前までは確かにあったそうだが、現在は工事のために取り除かれてなくなってしまったのだそうである。

 

五輪坂。

五輪坂の途中にある墓地。

 

2基の五輪塔。

   
  mapion
玉川村南須釜蟹沢。福島空港のすぐ近くでちょうどこのあたりの山の中にあるが、地元の人の案内がなければ発見は困難。
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