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■浅川よもやま話
   
  ■山下弥次郎 
 

 来福寺の墓地裏山の下に、農道がある。その付近を、山下と呼んでいる。

 昔は人通りも多かったが、空にそびえる大木のため、昼間でも薄暗く、夕方には夜鳥がとびまわるということで、暗くなると大人もめったに通らなかった。

 そこに化け物が出るという噂があった。大木の枝やら藤蔓やらが風にゆれて、通り人の首や頭に触れたので、話が大きくなったらしい。

「弥次郎さまに舐められた!」

「言うことを聞かないと、弥次郎化けものが来る」

と、子守りのときによく言ったものであった。

参考 『浅川町史』

  ■砥石藤造 
 

 今は廃寺となってしまったが、表の前地内にあった重輪寺の門道の入り口を、かつては大門と呼んだ。お寺の門道であるため、左右には大木が茂り、藤蔦などもからまって、昼でも薄暗い、寂しい場所であった。

 この大門付近に化け物が出ると、もっぱらの噂であった。

 ジョンジョンと、刃物を研ぐ音がした。小豆を洗うような音も聞こえた。この話は村中に知れ渡り、誰とは言うなしに、この化け物は砥石藤造と呼ばれた。

 ある日、力の強い男が化け物を調べることにした。すると、刃物を研ぐ音は水門の水音で、小豆を洗うような音は、藤枝の擦れ合う音と、実が割れてパチパチとはじける音だったそうだ。

参考 『浅川町史』

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