松橋にイボ清水と呼ばれる清水がある。チリ紙を清水に浸しイボにつけて傍らの古木に打ちつけ、後ろを見ずに帰るとイボが取れるといわれて、今でも訪れる人が多い。ここには次のような伝説がある。
三春城主秋田盛季の姫君がどうしたことか手の甲に多くのイボができて困り果てていた。ある夜姫君は「城から丑寅の方角半里のところに清水があり、それをつけるとイボが消えた」という夢を見た。
さっそく近侍に調べさせたところ、はたして清水があり、姫の手をその清水に浸したら、幾日もなくイボが消えた。それからこの清水はイボ清水と呼ばれ、藩内はもちろん、二本松領からもこの霊水を訪れる人が多かった。藩主は清水の傍らに祠を建ててお祀りした。
また別の話も伝えられている。
昔、行者が現れ、里人に次のようなお告げをしたのだという。 「妾は疣清水なるぞ。妾の言うことをよく聞け、妾はものすごい醜女に生まれ育ち、世間の人に嘲られて、切ない悲しい思いをしたので、世の人に同じ憂き目を見させたくないとこの清水の精になった者である。疣とは体にできるものばかりではないぞよ、心配事も心の疣なるぞ、この清水で洗えば全ての疣が取れるぞよ」と。
参考 『三春町史』