陽林寺の開山様は、遠く駿河からやってきたという。
修行中のある夜、夢を見て、「お前の修行すべきところは奥州の地である。」とお告げがあったので、あてもなく奥州へと旅してきた。そして現在陽林寺のある山や沢が自分のもといた場所に似ていたので、この山のふもとに来て草庵を構え、座禅をしていた。
開山様は21日間の間飲まず食わずの座禅を続け、ついに満願の日がやってきたが、身体はフラフラに弱り、立つこともままならないほどであった。そのころ、近くで綿をつくっている婆さまがあって、小豆粥をこしらえて食べさせてやったところ、元気をとりもどし、さらに修行を続けることができたのだという。それで、開山様参りには村の人たちが小豆を持ち寄りお供えするようになった。
婆さまが綿かけしていた清水を綿かけ清水といい、座禅していた石というのを座禅石という。
開山様はこのあと、伊達稙宗公がこのあたりに狩に来た時、座禅しているところに会って、寺を建ててもらい、教えを広めたといわれる。
また、陽林寺参道に化け物石というものがある。
昔、陽林寺の山に化け物が出るという噂がたち、村人は誰もが夜になると陽林寺に背を向けて寝るようになった。このころ、作内に剣道指南の男がいて、その化け物がどんなものかと夜になってから参道を登っていった。
すると、噂どおり化け物があらわれ、襲い掛かってきた。それで、その剣道指南の男は刀で化け物めがけて斬りつけたところ、ガチンと音がして化け物は消えてしまった。そこには、よく見ると大きな石が横たわっていたのだという。それでこの石を化け物石と呼ぶのだという。
参考 『福島市史』