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鬼生田の鬼石  
 

 桓武天皇の御世、ある女が田の仕事へでかけると急に腹を痛めて、田の中でひとりの男の子が生まれた。

 この男の子、近くで死人が出ると這い這いしてまでも死体を見に行くという不思議な子で、7歳ごろになると5尺にもなる体格の持ち主となった。そして、墓をあばいて死体を食べたり、暴力をふるったりするようになったので、親も恐れその子を殺そうと思った。男の子は、それを察して家を出て行ってしまった。

 子どもは何年か経て大滝根に棲み、滝根丸と名乗るようになった。そして、手下を率いて、旅人や土地の人を襲って暴れまわっていた。村人たちは滝根丸のことを、「あいつはまるでだ」とささやきあった。滝根丸も、「俺はだ」と名乗るようになり、その悪名はますます高まるのであった。

 滝根丸の勢力はどんどん強くなってきたので、桓武天皇は坂上田村麻呂を征討に向かわせた。そこで滝根丸田村麻呂に滅ぼされたという説と、紀州の熊野まで逃げたという説があり、今でも鬼生田の人は熊野権現には詣でないのだという。

 滝根丸が生まれた田を、地獄田と呼んでいる。鬼生田(おにうた)の地名は、が生まれた田ということから、この名がついたという。また、鬼生田の民家には鬼石という石があり、滝根丸が子供の頃、おもちゃがわりにして遊んだ石だという。

参考 『郡山の伝説』

   
 

 田村地方には田村麻呂との関連で数多くの鬼伝説が残っていますが、これもその中のひとつで、滝根町にある大滝根山の鬼の出生を描いています。しかし、たしかに大滝根山は鬼伝説で有名なのですが、当の大滝根山現地では、鬼の名前は「滝根丸」ではなく「大滝丸」が主流。まあ、似たようなもんですけど(^^;

 鬼生田の鬼石は、とある民家の軒下のお堂の中に祀られています。ごろっとした大きめの石で、当然、子供がおもちゃにして遊ぶようなシロモノではありません。まさに鬼の所業です。また、地獄田の場所もはっきり残っているそうですが、少し山に入ったところらしく、「あぶないし、なんにもないから行くな」と言われてしまったので、ここは素直に言う事をきくことにしました(^^)

 なお、鬼石見学の際は、必ず家の方に一言ことわってからにしましょう。

 

鬼石を祀る御堂。しっかり拝んでいこう。

   
  mapion
郡山市西田町鬼生田字町。県道の西側のとある民家の軒下に祀られている。近所で聞けばだいたいわかるはず。
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