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竜ヶ淵 
 

 むかし、竜ヶ馬場に長者が住んでいた。

この長者は名馬を飼っていたが、ある時、その名馬が体中に汗をかいて帰ってきた。どこか体の具合が悪いのかと思ったが、その様子もない。次の日も、そのまた次の日もは同じように汗をかいて帰ってくるのだった。

 不思議に思った長者がの後をつけてみると、なんとは竜ヶ淵にきて、と壮絶な決闘をしているではないか。互いに五分五分の戦いで、長者は息を飲んで見守った。そして、どうものたてがみが邪魔になっているようであった。

 たてがみを切ればは勝てるかもしれないと思った長者は、その日、が帰ると早速たてがみを短く切ってやった。

 次の日、前日と同じように名馬の後をついていき、胸をときめかしてとの決闘を待った。しかし、決闘は相違して、に負けて死んでしまった。長者はそこではじめて、のたてがみが邪魔などころか大きな力を持っていることを知り、名馬の死を慎んで竜ヶ淵に碑を建てた。それが竜淵記の碑である。

 この碑は三つに割れて川に沈んでいたが、ある日、若者が川の中から一片の碑を発見し、付近を捜したら全部で三つ見つかりつなぎ合わせたのが「竜淵記」の碑である。この碑文を解読してその傍らに再建の碑「竜ヶ淵由来記」を建てた。

参考 『郡山の伝説』

   
 

 国道49号線沿いを流れる谷田川にある竜ヶ淵にまつわる伝説。馬が竜に敗れた後どうなったのかわからないのですが、その後竜が悪さを働いたとか、長者が被害を被ったということがないので、ここで現れる竜は悪い存在なのではなく、淵に住む主のような存在なのでしょう。

 さて、竜ヶ淵は現在も地名が残っており、バス停にもなっています。淵のすぐ側の方の話によると、やはり国道沿いという場所のため、昔とはずいぶん雰囲気が変わって、明るくなったのだといいます。ときどき尋ねてくる人もあるようで、その他にもなにかと親切に教えていただきました。話の中に出てくる「竜淵記」&「竜ヶ淵由来記」ももちろん健在で、車通りの多い中、民家のわきに2つ仲良くひっそりと建っていました。

 

竜ヶ淵の様子。

昔とはずいぶん変わったらしい。

竜ヶ淵のバス停。 前後には
「竜ヶ馬場」「上竜ヶ淵」というのもある。

 

「竜ヶ淵由来記(左)」と「竜淵記(右)」。
「竜淵記」にはつなぎ合わせた跡がある。


前方の草に隠れた橋は
「奥州駒回橋」という著名な橋なのだとか。

   
  mapion
郡山市田村町栃山神。49号線沿いにバス停「竜ヶ淵」があり、そのすぐ下が竜ヶ淵である。「竜淵記」の碑は、川の反対側で道路の北側の道沿いに建っている。
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