昔、このあたりは竹山と呼ばれ、地竹材を秋のうちに刈り取って、翌春の彼岸過ぎに堅雪の上をそりで引き下ろしていた。しかし、その坂道のど真ん中に大桂があったので、村人はこれを取り除いてしまおうと相談し、代官所の許しを得て切ることにした。
さて、何しろ大木であったので、杣人は一部分だけを切って帰宅したところ、その晩異様なうめき声が四方に聞こえた。
翌朝また登山し作業にとりかかろうとしたところ、なんと昨日切ったはずの木はきれいになっていて跡形もない。そして、まわりにはえもいわれぬ桂香が立ち込めていて、桂宮へ連れて行かれそうになった。
杣人は、「これは月山さまの神木だわい」と、青くなって下山したという。
月山さまはこの大桂の西の渓、常夏川の源滝に祀られている。
参考 『郡山の伝説』(郡山市教育委員会)