昔、赤沼館に右馬充(うまのじょう)という殿様がいた。
ある日狩にでかけたが、その日はさっぱり獲物が無く、不機嫌だった。むなしい帰りがけに赤沼のほとりでひとつがいのおしどりを見つけた。
家来が止めたが殿は矢で雄を射て、上機嫌で帰り、家来に料理をさせて酒宴を張り、夜も深まって寝床についた。
夜中に殿様はうなされた。夢の中に美しい女が現れ、泣きながら「うらめしい・・・」と訴えるのであった。はっと目覚めた殿が枕元を見ると短冊が置いてあり、「日暮ればさぞかし物を赤沼のまこもかくれのひとり寝ぞうき」と歌が書かれていた。そして、畳には血がしたたっていた。
それから殿様は発狂して行方知れずになったという。一説には出家したともいう。
参考 『郡山の伝説』(郡山市教育委員会)