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■生血を吸う大蛇 
 

 昔、螺良岡は人家が7、8軒あったがある年の初夏のころ、村上の家から次々と得体の知れない病気が流行して遂に2軒だけ残ってみな死に絶えてしまった。残った者は原因もわからず、不安な日々を送っていた。

 2軒のうち1軒は年をとった老婆と8つになる男の子が住んでいたが、2人だけでは寂しかろうともう1軒の家の人が毎晩泊まりに来ていた。その夜も子どもが寝付いてから自分も帰ろうとすると、子どもの寝ている部屋から苦しいうめき声がきこえる。急いでのぞいて見てみると、天井からぶら下がった蛇が寝ている子どもの口に首を差し入れ、チュウチュウと血を吸っていたのだった。

 今まで人が死んだのはこの蛇のためだったのかと、村人は側にあった天秤棒でその蛇を打ちのめしたが、蛇は息も絶え絶えに天井から屋根へ屋根から木の梢へと逃げ山寺の方へ姿を消した。血を吸われた子どもは真っ白になりついに息を引き取ってしまった。

 それからというもの螺良岡に蛇は出てこなくなり、家も増え、40軒近くになって豊かな日々が続いたということである。ここの人たちは今でも山寺のあったあたりには生血を吸う大蛇が出るぞといって近づかぬようにしている。

参考 『会津本郷町史』

   
 

 流行り病の正体がヘビだった、という話。とはいうものの、ヘビは病原の比喩的存在で、病気を断つこととヘビ退治が同一視されているのだろう。

 しかし、ガブリとかまないでチュウチュウ血を吸うヘビというのも、なんだか気色悪い。

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