麓山神社がまだ山頂にあった頃、お山は女人禁制だった。それで村の女たちは神さまの前を通るとき、体の前や後ろを神さまに向けないように、横を向いて急いで通りすぎたそうだ。
その頃、この村に神さまを信じない気の強い女がいて、「男が登っていいのに女が登って何が悪い」といって、人々が止めるのも聞かず、山へわらびを採りに行った。
すると突然山も崩れ地も割れるほどの地鳴りが起こって、女は山から跳ね飛ばされて転がり落ちてしまった。村人が女の落ちたところへ行ってみると、可哀想に女はタスキをかけたまま、石になっていた。
村人は、この気の毒なタスキ石の女を哀れんで、時折香華を手向けてその冥福を祈っている。
参考 『富岡町史』