その昔、水無川は水量も多く、毎年秋には鮭がたくさん上ってきたのだという。
この川には渡しがあったが、ある日1人のまずしい旅僧が来て、「向こうまで渡してください」と頼んだ。しかし、あまりにみずぼらしい姿であったので、「そんなきたない者は、渡すわけにはいかない」と断られた。
幾度頼んでも同じだったので、僧は怒り、「ならば、誰でも通れるようにしてやろう」と渡し場一帯の水を枯らし、歩いて行ってしまった。僧は、弘法大師であったという。
また、鮭を所望した僧に村人が「生臭坊主め」とののしり乱暴したので、怒った僧(やはり弘法大師)が「これからは鮭が登らないようにしよう」と水を堰き止めてしまったともいう。
参考 『原町市史』