相馬市坪田の八幡神社は、昔は椿の生え繁った広い荒地であったというが、その中の一軒家に1人の老婆が1匹の猫と住んでいた。
ある日のこと、ゴゼが村に来たので人々はそれを聞きに行ったが、老婆は行かなかった。 すると猫がどうして行かないのかと尋ねた。老婆は年をとって歩けないからというと、それでは私が唄って聞かせましょうと言って猫は障子に口をつけて声を震わせ、手で喉をつかみ、頭に手ぬぐいを被って立って唄ったという。それは上手でびっくりするくらいだった。
唄い終えると猫は、自分が唄ったことは決して人に言うなといって去ってしまった。
老婆は後に皆にその話をすると、どこからか猫が飛んできて老婆を食い殺してしまった。この猫は前の椿が原にキツネのお満とタヌキの某と3匹で住んでいた中の1匹であったという。
参考 『相馬市史』