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■セタカムイ岩■

 昔、オキクルミ(文化神)が狩りにいくとき、いつも6匹の犬を連れて歩いていた。
 しかしある時、オキクルミがここを去るときに犬を1匹置いていったので、置いていかれた犬は主人を追って海岸までやってきたが、海に隔てられ、悲しく遠吠えをしながら岩になってしまったのだという。

■第2話■

 昔、ラルマキという村の若い猟師が、1匹の犬を飼っていた。猟師は犬をかわいがり、とてもよくなついていた。

 ある日、ラルマキは仲間たちと一緒に漁に出た。犬は、海岸に残って主人の帰りを待つことになった。
 しかし、突然天候は変わり、嵐が来て、海が荒れに荒れた。猟師たちは命からがら浜辺へたどり着いたが、ラルマキだけはとうとう帰ってこなかったのだった。

 嵐は数日間続いた。その間も、犬はずっと主人の帰りを待っていた。数日たった夜、犬の遠吠えがいつまでも聞こえていた。

 次の日、嵐はすっかり止んでいた。海辺に犬の姿は無く、かわりに犬の遠吠えの姿の岩が忽然と立っていた。人々は犬を哀れんで、この岩をセタカムイ(犬の神)と呼んだのだという。

参考 『北海道の伝説』(角川書店)


◆またたびの独り言◆

 小樽から余市→積丹へと続く日本海岸ルートは、札幌圏からのお手軽ドライブコースとして、休日ともなると多くの車でにぎわうルートである。

 さて、その海岸線には多くの奇岩が並び、楽しませてくれるのだが、このセタカムイ岩はその中でも特に名前と伝説のある岩のひとつであり、地図にも載っている。
 国道229号線を進み、余市と古平の境のトンネルを抜けると、「セタカムイ駐車場」というひと休みパーキングがある。その名の通り、そこにセタカムイ岩があり、伝説の書かれた説明板もあるのである。
 セタカムイ岩は思ったよりも大きく、荒れる日本海に向かって悲しげに立っているのが印象的であった。

 ちなみに、1話目は『北海道の伝説』に掲載された話であるが、2話目は現地の看板にあった話である。2話目は典拠がわからないので、どうも怪しい。北海道の伝説にはときどき近代の創作が混ざっており、これもかなり臭うのだが、一応紹介しておいた。
 なお、オキクルミはよく源義経と同一視されるが、1話目の伝説においても、犬を連れてきて置いていったのは義経であるという別話もある。


セタカムイ岩の哀愁をおびた姿。

★関連伝説地★

●石変化

チャランケ岩(伊達市)
稚児岩(福島県相馬市)

★関連リンク★

古平町
夕暮れ時のセタカムイの雄姿が見られる。このホームページによると、犬の名前はシロというらしい。

※セタカムイは有名なので、この他にも検索をかければたくさんでてきます。

★アクセス★

余市から積丹へ向かって走ると、ちょうど古平との境に長いトンネルがある。そのトンネルを抜けると「セタカムイ駐車場」というのがあるはず。すぐわかる。


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