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■三石の焼串岩(イマニッ)■

 昔、このあたりの人々は魚を焼いて食うことを知らなかったので、浜に鯨が寄ったのをオキクルミ(文化神)が切って、それを蓬の串に刺して焼き、人々に魚を焼いて食うことを知らせた。そして、それを忘れないようにするため、その串を岩にして残したのだという

 その岩はだんだんと大きくなっていったが、ある時、この岩の下を不浄な女が通ったために、岩が中ほどから折れて、先のほうは川の向こうに飛んでいってしまったのだという。

 なおこの岩の上には三石山にある草木がすべてあると言われ、昔からアイヌが神を祀るときには、この岩にも木幣(イナウ)をあげることになっている。

■第2話■

 昔、コタンカラカムイ(国造神)が鯨をとったので、焼いて食べようと焼き串に刺し、たき火に立ててあたっているうちに、眠くなって居眠りを始めてしまった。
 やがて串の根元が焦げて火がつき、燃え折れてドタリと鯨が川向こうに倒れたので、カムイはびっくりして尻餅をついた。その尻餅の跡が残っている。

■第3話■

 昔、この岩の上には魔神の兄弟がいて、ときどき人里を荒らしていた。

 それを見た善神たちは悪さをやめさせようと、この岩の魔神を攻めた。耐えられなくなった魔神はこの岩から飛び下りた。しかし、兄2人は岩に打ち当たって死んでしまった。

 弟1人だけは川の中に飛び込んで助かり、川上へ逃げていった。善神たちがそれを追いかけていったが、しばらく行くと川のほとりに毒の木で魚を焼いて食った跡があったので、いやになって追うのを止めたのだという。
 また、三石の語源はトミウ(戦ったところ)なのだという。


参考 『北海道伝説集〜アイヌ編』(更科源蔵)
    『北海道の伝説』(角川書店)


◆またたびの独り言◆

 3話ともそれぞれに面白い伝説である。コタンカラカムイ、オキクルミともにアイヌの物語ではおなじみの神で、特にオキクルミは源義経と同一視されていることで有名である(地域によっては弁慶)。
 どちらも鯨を食べる話になっており、当然のことながらアイヌにとっても鯨は貴重な食料であったのだと認識させられる。

 3話目だけは毛色が少し違うが、善神がいきなり追うのをあきらめて話が終わってしまうところが面白い。「それでも善神かよ!」と言いたくなる(この先の話があるのかもしれないが…)。
 悪の者が魔よけグッズで進むのをあきらめるというのならよく聞くが、善の者が悪グッズで進むのをあきらめるというのは、そうそう無い話なのではないだろうか。ちなみに、三石の語源は、公式にはビットウシ(小石の多い土地)なんだそうだ。

 さて、件の焼串岩だが、現在は蓬莢山と呼ばれ、すぐ近くには蓬莢小公園というのもあるので、すぐにわかる。毎年7月には「みついし蓬莱山まつり」というのがあり、巨大なしめ縄が貼られるのだという。詳しくは三石町のホームページで。


木に覆われたイマニッ。

★関連伝説地★

特になし

★関連リンク★

三石町
「みついし蓬莱山まつり」の情報がある。

★アクセス★

静内からえりもへ向かって国道をひた走り、日高三石駅を過ぎたら道道を左折。間もなく蓬莱山が見えてくるはず。曲がるところさえ間違わなければ、簡単である。


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