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角塚古墳

 むかし、この辺りに高山掃部(かもん)という、それはそれはたいそうな長者が住んでいた。ところが、長者は慈悲深い人であったのだが、妻は欲深い性格で、使用人を毎日のようにこき使っていた。
 ある年、米が凶作で、死人が大勢出た。そこで長者は蔵のたくわえを取り出し、貧しい人々に分け与えることにした。しかし、それを知った妻は「あんた、なんともったいないことを」かんかんに怒って、大声で怒鳴り続けた。あまりにも大声で叫んだ妻は、のどが渇いたので、水を飲もうと井戸をのぞいてビックリ。口は耳元まで裂け、頭には角が生えた大蛇の姿になっていたのだ。狂った妻は屋敷に火をつけ、そのまま沼に入ってしまった。そして、それからというもの、この大蛇はときどき人里にやって来ては若い娘をさらっていくようになり、村人は恐ろしさで夜も眠れなくなってしまった。
 やがて、大蛇はとうとう「娘をさらわれたくなかったら、毎年8月15日に、15歳になる娘をいけにえに差し出せ」と村人に言ってきた。そんなある日、この地を治める郡司源義実の夢枕に薬師如来が立ち、「この村を救えるのは、西の国の小夜姫である」と告げる。そこで村人は早速小夜姫を呼びだし、いけにえとして差し出すことにしたのだった。
 いよいよ8月15日の夜、いけにえのやぐらに立った小夜姫は、肌身離さず持っていた金色の如来像を髪の中に隠しておいた。そして、とうとう嵐の中大蛇が目の前に現れた。小夜姫はひるむことなく、ひたすら経を唱え続け、経文を大蛇に投げつけた。すると、大蛇の角はばらばらと崩れ落ち、もとの長者の妻の姿に戻っていたのだという。
 そして、このときのPの角を埋めたのが角塚古墳であるという。

参考 『岩手の伝説を歩く』(岩手日報社)


◆またたびの独り言◆

 蛇になった腹いせかどうかはわからないが、いきなり屋敷に火をつけて逃げていくという、どうしようもないヤツである。最後は人間の姿に戻ったようだが、その後どうなったんだろうか?手元の資料では不明である。
 角塚古墳はれっきとした前方後円墳で、一本の木が印象的。目の前には角塚古墳公園というとがあって、ハニワのモニュメントが並んでてなかなか楽しいところだ。ここで遊んで育った子供の中には、考古学を目指す者もでてくるんだろうか。


五大堂。

「為智子供養」とある智子塚。

疑惑の沼。

★関連伝説地★

●大蛇変化
平筒沼の大蛇伝説
 (宮城県豊里町)
たつこ伝説
 (秋田県田沢湖町)
八郎と南祖坊
 (青森県十和田湖)

★アクセス★

胆沢町南都田。国道沿いに古墳がある。目立つ。あと、「角塚公園前」というバス停もある。


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