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化女沼   
 

■その1

 昔、沼のほとりに長者が住んでおり、一人の姫がいた。姫は朝夕その美しい姿を沼の水面に写していた。すると、その美しさに見とれて、沢山の蛇が水面に集まるようになっていた。
ある秋の夕暮れのこと、一人の美男子がこの辺りを通り、長者の家に泊まった。姫はすっかり魅せられ、結ばれたが、翌朝、若者は旅立つことになり、姫はいたく別れを惜しんだ。
その後、長者の家ではさびしい毎日が続いたが、ある日、姫が草原で休んでいると、身体に異常を感じ、しばらくして子を産んだが、その子は蛇体であった。子はそのまま沼の中へ消え、それからというもの、沼の中から毎晩のように泣き声が聞こえ、やがて姫はその泣き声に惹かれて水中に身を投じてしまった。その後毎年五月の節句の日には、沼の中から機を織る音がするという。

■その2

 昔、近くの茶屋の主人某という男がいた。この男はある時、天女が天下るのに会い、これは珍しくもったいないことであると、馬を雇って天女を乗せ、自分の家に連れ戻る途中、化女沼にさしかかった時、天女は男に向かって、「天女を乗せたことを決して他言してはならない、もし他言すれば何か祟りがあるであろう」と言うが早いか、沼に飛び込んで消えてしまった。
男はしばしあっけにとられ、やがて帰ったのだが、あまりの不思議さに、つい他人に話してしまった。しかるに格別の禍はなかったのだが、それ以来代々の家督筋の者が夭死するようになったのだという。

参考 『古川市史』、『宮城の伝説』(角川書店)、『宮城の伝説』(日本標準)

   
   化女沼のある辺りは長者ヶ原と呼ばれ、上に挙げたふたつの伝説以外にも、長者と姫にまつわる伝説がある。特に怪談ではないので省いたが、内容は「地頭に姫が懸想され困ったので、一夜にして家財道具全てを持ち出し最上へ去った」というもので、さらに黄金埋蔵伝説も付加され、その1、その2とともに県内に広く伝わる話である。また、その黄金伝説では、機の音が聞こえるのは七月七日であるとも言い、それを聞くと不吉であるとも言う。
 その1の伝説についてさらに中身を見てみると、「蛇との異類婚礼」、そして「機の音」という、やはり典型的な2つの伝説が合体した伝説になっている。その2の天女の伝説も珍しくはないし、とにかく様々な伝説がこの沼に集っている。この沼はなにか伝説を引き寄せる力を持っているのではないかと思えてくる。

 さて、その化女沼周辺は、現在は公園になっていて、レジャーランドがあったりピクニックエリアが整備されたりしている。しかし、僕が訪れたときは雪が降った後で、沼は雪の下に隠れちゃっているし、湖畔のレストハウスにも人気がなく、なんとも静かな状態であった。
 


湖畔にあった照夜姫の像。
どの伝説の姫なのだろうか?


像のアップ。


化女沼のようす。


秋の化女沼。

   
  mapion
大崎市古川小野。沼東南のレストハウスのところに像があった。
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