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興禅院の抜け首
 

 興禅院はその昔、少し離れた寺山という場所にあった。夜、住職が読経をしていると、その度に 抜け首が現れ、和尚の顔をぺろぺろなめるので、ついに我慢できなくなり今の場所に移ったのだという。 また、移った後、寺山へ入って抜け首に会った者もいて、会った者はまもなく死んでしまったという。

参考『泉市史』

   
   朴沢にある興禅院は、昔は少し離れた山の中腹にあったそうだ。しかし、妖怪抜け首が夜な夜なあらわれたため、現在の平地に移動したとか。ちなみに、「抜け首」とは「ろくろ首」を指す場合と、ろくろ首とは違って、「首が胴体から離れて空を飛び回る妖怪」を指す場合とがあるが、どうやらこの場合は前者のようである。

 現在の寺の回りをうろうろしていると、前方からさっそうとカブに乗ったおじさんがやって来た。そして、寺の前でカブから降り、メットを取ると…住職さんではないか!さっそく声をかけてみた。
 住職は昔寺があった山の場所を親切丁寧に教えてくださり、お話も聞くことが出来た。 しかし、残念ながら寺に関する古い資料は火事で焼けてしまったのだそうだ。
 しかし、興禅院が山から平地へ移ってきたということは確からしい。事実としては、やはり山の上では不便だったから、ということになるという。しかし、なぜ妖怪の話が付随してしまったのだろうか。里人が和尚さんを揶揄して言い始めたことなのだろうか?

 なにはともあれ住職にお礼をし、教えてもらった山へ。意外にも目と鼻の先だった。細い田んぼのあぜ道を抜け、山へ。急勾配のダートだったが、臆することなく 登って行くと、あった!昔の墓地の跡。今は墓地もふもとに移されていて墓は無いのだが、そのかわりに大きな慰霊塔が建っていた。回りを見渡せば、背の高い木々。暗い林の中なのに、上からは強い日差し。「異界」という言葉がぴったりと当てはまりそうな、不思議な空間。慰霊塔に眠る多くの霊に手をあわせ、そこを後にした・・・。
 

寺山の木立。

寺跡にのこる慰霊碑。
   
  mapion
泉区朴沢。ちょうどこの地図のあたり。田んぼのあぜ道を行かなければならない。ちなみに地図の南西には現在の興禅院が見える。
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