昔、中田の北の方に広い沼があって、夏になると美しい蓮の花が沼の上一面に咲いたが、それをとった人は必ず死ぬと信じられていた。
あるとき、この近くにあった長者のお捨てという美しい一人娘が召使を連れて沼のほとりを通りかかり、蓮の花の美しさに心を引かれて、たまらなくなり召使の止めるのも聞かずに下りていくと、見る見るうちに沼の水面に波紋が起こって輪を描き、見ていたお捨ては目がくらんで沼の中に引き込まれてしまった。
召使は気も狂うばかりお捨ての名を呼んだが、その姿は再び現れなかった。
それ以来夜になると火の玉が沼のほとりを飛んだ。
そこで村人はお捨ての供養に沼の岸に地蔵様を建ててから火の玉が飛ばなくなり、いつとなくお捨て地蔵というようになった。
参考 『仙台市史』