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おくら溜池

 現在村山市の大倉溜池がある辺りは、その昔、日照りが続くたびに水不足に悩まされ、村人に争いが絶えなかった。たびたび溜池を作っても、大雨で崩れたりして、いっこうにうまくいかなかった。
 あるとき、その様子を見たおくらという村一番の美しい少女が、突然もののけに憑かれたように狂いだし、「これは水神様の祟りであるかもしれない。わたしがこの身で水神様におつかえし、お心を鎮めましょう」と口走ると、豪雨の中を走りだし、その日まで織物をしていた機織の梭を握り締めながら池に身を投じてしまった。
 その後は、何年経っても溜池が崩れることはなかった。しかし、池の底からは毎夜のように機織の音が響き、「縦糸が切れるゥ、横糸が切れるゥ、糸管ッコ無ェッチャア」とすすり泣く女の声が聞こえるので、村人はおくらの霊を鎮めないからだと気づき、早速おくらの霊を水神様として祀ったのだという。


参考 『出羽の伝説』(角川書店)


 地域の伝説を採集している方がおられるようで、近くの公民館を訪ねると、におくら溜池についての資料をもらうことができた。
 溜池は、名前こそ溜池なのだが、実際見てみるとなかなか大きく、美しい姿である。この美しさもおくらのおかげなのだろうか。おくらを鎮めた墓ってのが池のほとりにあって、真新しいものだったが、その隣りには古めかしい碑もあって、おそらくこっちが本来の墓なのだろう、ということであった。


大倉溜池。

おくらの墓。

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村山市山。小学校の近くに公民館があり、その前の道から溜池に出ることができる。


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