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小松淵の大蛇

 むかし、小松淵にある岩穴に大蛇が住み着いて、ときどき穴から上がってきては赤い橋に化け、知らずに渡る人を呑み込んだり、大雨を降らせて田畑を流したりして村人を苦しめていた。この大蛇は岩山を七回り半も巻くほどの大きさで、村人はただただ恐れ、小松淵の主とあがめたてまつっていた。
 このことを聞いた新庄のわがままな殿様は、「わが領内に、我の他に主はいらぬ」と、剛力の小山八蔵という侍を使わした。八蔵はすぐに小松淵へとでかけていったが、大蛇は昼寝の真っ最中で、ものすごいイビキをかいている。どこが頭でどこが尻尾なのかも判別のつかぬほどに大きなとぐろを巻いた、真っ白な大蛇なのであった。
 八蔵は勇気を出して、早速岩穴に忍び込むと、大蛇と大格闘を始めた。そして、その末にとうとう八蔵が大蛇を切り伏せたところ、大蛇はずるずると淵の深みに沈んで、真っ赤な血は、とめどなく7日7晩も川を朱に染めて流れたのだという。
 また、その後小山家の人間が肘折を訪れると、奇妙にも必ず怪我をした。人々は、これも大蛇のたたりであろうと噂したという。


参考 『出羽の伝説』(角川書店)『山形県最上地方の伝説』(東北出版企画)


 ひなびた、味のある肘折温泉郷のはずれに景勝の地として小松淵はあり、伝説の書かれた説明板も立っている。小高いところへ登る階段があったのだが、これが段差がきつくて、登るのが辛い辛い。しかも、せっかく登ったのに木が茂っていて淵を上から覗くことはできなかった。温泉街はきれいに見えたのだが…。
 しかし、「俺意外にボスはいらねぇ」と蛇を退治させた殿様ってのも珍しいかも。なんか誉めていいのか悪いのか、村人もきっと複雑な心境であったことであろう…。


小松淵。

肘折温泉郷。

★関連伝説地★
★アクセス★

特になし


肘折温泉郷の北の方にある。


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