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めっけ犬と大山犬祭り■

 昔、椙尾神社の裏山に、化け物がいた。
 毎年のお祭りの日には、美しい娘を人身御供としてささげなければならず、もしそれを怠ると田畑を荒らすので、村人は大変困り果てた。やがて、お祭りの日には、娘をカゴに乗せ、行列をくんでお宮にささげ、逃げ帰るというならわしになっていた。

 ある年のお祭りの日、一人の六部(修験者)が通りかかり、話を聞いて、その夜椙尾神社に密かに隠れて様子を見ていた。
 すると、真夜中、どこからかなまぐさい風が吹いたかと思うと、東西から大入道の化け物が2匹現れ、御供の娘を引きずり出すと、まな板の上に乗せ、「丹波のめっけ犬にこのことを聞かせるな」と繰り返しながら娘を二つにし、頭の方を東の坊、足のほうを西の坊が持って、「また来年お目にかかろう」と言って暗闇の中に姿を消した。

 これを見ていた六部は、さっそく丹波へ行ってめっけ犬を探した。
 さんざん探し回り、ようやくめっけ犬を見つけ、喜び勇んで村に戻ってきたときには、ちょうど次の年の祭りの日であった。

 六部は娘のかわりにめっけ犬をカゴに入れ、お宮へ置いた。やがて2匹の大入道が現れた。そして、カゴを開けると、中からめっけ犬が飛び出した。化け物めっけ犬は激しく格闘を始めたが、やがてめっけ犬化け物をかみ殺した。だが、めっけ犬自身も血に染まって倒れてしまった。

 夜が明けて村人がお宮に上がってみると、年をとった2匹のムジナが正体を現して死んでいた。村人はめっけ犬を神社のお前立として祀ったのだという。


◆またたびの独り言◆

 山形県内に多く伝わる「猿神退治」系のお話のひとつ。
 大山の犬祭りの日を狙って訪れた。大山犬祭りは、庄内3大祭りのひとつだそうだ。
 祭りは、恒例の御輿の他にも、子供たちが引く犬の張子や、人身御供を模したと思われるカゴが特徴。なかなか伝統のありそうな、荘厳なお祭りであった。暑かったけど。
 さて、めっけ犬を祀る椙尾神社だが、こちらもなかなか立派な建築です。めっけ犬は、狛犬のごとく神社を守っていた。なぜ二匹なのか…は、置いといて。


祭りに出ていた張子。

張子その2。

椙尾神社


神社の狛犬。

★関連伝説地★

●猿神退治
べんべこ太郎(天童市)
犬の宮(高畠町)

★アクセス★


鶴岡市馬町。羽越本線羽前大山駅からまっすぐ北上。


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