にゅうないすずめ(入内雀)


 
 

 むかしむかし、平安時代の京都に、藤原実方(ふじわらのさねかた)という、とてもすぐれた歌人(和歌をつくる人)がいた。

 実方は、あるとき、ちょっとしたしっぱいをしてしまって、奥州(今の東北地方)に行くことになってしまった。

 そして、奥州にやってきた実方は、ある日、笠島道祖神社(かさじまどうそじんじゃ)の前をとおりかかった。その神社で、村人が実方に「この神さまの前では、馬から下りてください」とおねがいした。

 しかし、実方は、「そんなひつようはない」と言って、馬にのったままテクテクすすんでしまったのだった。

 するととつぜん、馬があばれだし、実方は馬からおちて、そのまま死んでしまったのだという。これは、神さまをバカにしたバチがあたったのである。

 そして、実方はずっと京都へ帰りたいと思っていたから、死んだ後、その思いがスズメのすがたになって、京都へとんでいったのだという。このスズメがにゅうないすずめとよばれたのである。

 つまり、にゅうないすずめというのは、実方のゆうれいのようなものなのである。


藤原実方奥州に左遷せらる。その一念雀と化して大内に入り、台盤所の飯を啄しとかや。(『今昔画図続百鬼』より)


んら作


菜真琶歌作

 
 

◆伝説をたずねる◆

 藤原実方(ふじわらさねかた)のおはかだというばしょは、いくつかあるが、中でも一番有名なのは、宮城県名取市の「実方中将の墓」だろう。

 ちょっとうすぐらい林の中へ入っていくと、ひっそりとおはかが立っていて、お花がおそなえしてある。みんなもぜひたずねて、「京都へ帰りたい」と思いながら死んでしまった実方の心をなぐさめてあげてはどうだろうか。

 このおはかから少しはなれたところには、実方にバチをあたえた「笠島道祖神社(かさじまどうそじんじゃ)」もある。こちらも行ってみよう。ちょっとおこりっぽい神さまだから、キチンとおまいりしようね。

実方のおはかのようす。

笠島道祖神社。
なかなかりっぱな神社だ。

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