いばらぎどうじ(茨木童子)


 
 

 京都の大江山というところに、酒呑童子(しゅてんどうじ)という、おそろしいオニのおやぶんがいたのだが、いばらぎどうじは、そのしゅてんどうじのこぶんのひとりである。

 きりおとされてしまったうでを、人間にばけてとりもどしたというから、なかなか頭のまわるやつだ。

<妖怪情報より>
・このお話は、「羅城門の鬼」と同じ話なので、この二 人の鬼は同一視されているのでは ないのでしょうか?(紅葉)


桜の錬金術士作


澪漂二重作


謎の玉蜀黍星人作


いろは狐作


深月亮作


モモッチ作


kuhu作

 
 

 

◆ものがたり◆

  むかしむかし、平安時代(へいあんじだい)のお話です。

 平安京(※1)の入り口に、羅城門(らじょうもん)という、それはそれはりっぱな門がありました。

 あるとき、渡辺綱(わたなべのつな)というサムライがやってきて、この門をくぐろうとしました。
 すると、そのときです。どこからともなくブキミなうなり声が聞こえてきたかと思うと、目の前に、おそろしい顔をした、大きなオニが立っているではありませんか。

は、すぐに思いました。
「さては、おまえはらじょうもんにすむという、いばらぎどうじではないか!?」

オニはこたえました。
「そのとおりだ!!今日のごちそうは、おまえだな!!」

 いばらぎどうじはとつぜんにおそいかかります。しかし、綱もただのサムライではありません。
 すばやく刀をぬくと、いっとうりょうだん!

ズバーッ!!

 もののみごとに、いばらぎどうじのかたうでをきりおとしたのでした。

「ギャーッ!!」と、いばらぎどうじはさけびました。そして、
「おのれ、今にみていろよ。かならずそのうではとりかえしてみせるからな!!」
と言うと、スーッと消えてしまったのでした。

★ ★ ★

 は、きりおとしたオニのうでを持って、自分の家に帰りました。そして、そのうでは、大事にはこの中にしまって、かくしておくことにしたのでした。

 何日かの日々がすぎました。

 ある日の夜、がいつものように自分の家で刀の手入れをしていると、トントンと、戸をたたく音がします。

「こんな時間に、いったいだれだい。」
が戸をあけると、そこにいたのは、のおばでした。

「これはこれはおばさん。どうしたんだい、こんな時間に。」
のしつもんに、おばがこたえました。
「イヤイヤ、話は聞いたよ。や、お前は京都のらじょうもんで、オニのうでをきりおとしたそうじゃないか。」

はとくいそうに答えます。
「ええ、たしかにそのとおりです。」
おばは目を丸くしておどろきました。
「すごいねぇ、お前は。なんて強いサムライなんだろうねぇ。ところでどうだい。このわたしに、そのきりおとしたうでとやらを、見せてくれないかい。」

このおばのたのみは、をこまらせてしまいました。
「おばさんのたのみは聞いてあげたいんですが、オニのうでは大事なものなのです。大切にしまってあるんです。いくらおばさんでも、見せてあげることはできません。」
しかし、おばは言うことをききません。
「いいじゃないか、わたしのたのみだよ?ひと目でいいんだ。見せておくれよ。たったひと目さ。」

 はとてもこまりました。しかし、ここまでたのまれてしまっては、ことわるわけにもいきません。

「しょうがないなぁ・・・。ひと目だけですよ。」

 は、家のおくにしまってあったはこを大事そうにもってきて、おばの前でゆっくりとあけました。中には、たしかにオニのかたうでがしまってありました。

「ヘェ〜!!これがオニのうでなんだねぇ!!」
おばはうれしそうにそのうでを見ました。

 そして、そのときのことです。おばの目つきが、とつぜんするどくなり、おばはニヤリとわらいました。

「ヒッヒッヒッヒッヒ。ばかなやつめ。まんまとだまされたな。」

 そう言うやいなや、おばはオニのうでをばっとつかんで、口にくわえました。そして、おばのすがたはみるみるうちにおそろしいオニのすがたになっていたのです!

・・・そう、おばの正体は、いばらぎどうじだったのです。

「やくそくどおり、きられたうではかえしてもらったぞ!!さらばだ!!ヒーッヒッヒッヒッヒッヒ!!」

 いばらぎどうじは、が刀を手にするより早く、そこからにげだしてしまったのでした。

「クソッ・・・やられた!!」
のくやみようといったら、それはそれはふかいものだったということです。

 その後、いばらぎどうじがどうなったか、知る人はいません。

(※1)平安京・・・今の京都市。


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