きよひめ(清姫)


いろは狐作


 
 

 きよひめといえば、「道成寺(どうじょうじ)」のお話として有名である。

 むかしむかし、奥州(今の東北地方)白河に安珍(あんちん)という若くりりしいお坊さんがいて、紀州(今の和歌山県)熊野にしゅぎょうへ行くとちゅう、宿にとまった。

 その宿には清姫(きよひめ)という美しいむすめがおり、安珍はすっかりひとめぼれをして、2人は恋におちてしまった。安珍は、熊野の帰りにまたここによって、清姫をおよめさんにもらうやくそくをしてしまった。

 しかし、お坊さんである安珍がけっこんすれば、しゅぎょうのさまたげになる。安珍清姫に会いたいのをガマンして、熊野の帰り道はべつの道を通って帰った。

 「安珍はまだか、安珍はまだか」とひたすら待っていた清姫は、安珍がもう帰ってしまったのを聞いて、おどろいた。そして、思わず安珍をおいかけて走りだした。

 安珍清姫においつかれないよう、いそいでにげた。しかし、清姫のおもいはだんだん強くなり、死にものぐるいで安珍をおいかける。そして、しまいには清姫はだいじゃのすがたになってしまったのである。

 おどろいた安珍は、道成寺というお寺ににげこみ、助けをもとめた。道成寺のおしょうは、安珍を鐘の中にかくした。

 ヘビのすがたでやってきた清姫は、安珍のかくれている鐘にまきついた。安珍はおそろしさの中でお経をとなえつづける。やがて清姫は口から火をはき、鐘はまっかにもえあがった。

 ・・・そしてとうとう、安珍は鐘の中でやきころされてしまったのだという。

 女の人のおもいの強さというものをよくあらわしたお話である。男性しょくん、女の人とおつきあいするときは、けっして「かるい」気持ちではイケナイぞ。

<妖怪情報より>
・その清姫に燃やされた鐘、「道成寺の鐘」は、湯になったという話もあります。(紅葉)


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