ぼたんどうろう(牡丹燈籠)


 
 

 ぼたんどうろうは、おそろしくも悲しい、男と女の物語である。

★ ★ ★

 むかし、京の都に萩原新之丞(はぎわらしんのじょう)という男がすんでいた。妻に死なれ、何もやる気がおきず、毎日さびしくくらしていた。

 ある年のおぼんの夜、新之丞は道ばたで美しい女にであった。ぼたんの花をあしらったとうろうを持ったその女にいっしゅんのうちに心をうばわれた新之丞は、フラフラとその後についていき、やがて深い仲になったのだった。女は、お露(おつゆ)といった。
  そしてそれからは、毎晩のようにお露新之丞の家に通うようになった。

 新之丞のとなりに、ある老人がすんでいた。老人は、最近の新之丞の様子が変だと気づき、ある夜こっそりと新之丞の部屋をのぞいてみて、ゾッとした。
 新之丞がよりそうお露はこの世のものではなく、肉がそげおち、骨がとびだすミイラだったのである。

 老人はすぐにこのことを新之丞に教えた。おそろしくなった新之丞はお寺に相談し、おふだをもらって家の戸にはりつけた。
  その夜からはお露は家に入ってくることができなくなったが、何日かすぎて、新之丞はだんだんとお露のことがわすれられなくなってきた。

 ある夜、ガマンができなくなった新之丞は、とうとうお露の墓に向った。するとそこにはお露がいた。「うらめしや新之丞さま。・・・でも、もうあなたをはなしません・・・。」

 次の朝、新之丞は墓地で死んでいるのを発見されたのであった・・・。

★ ★ ★

 ・・・みんなは、好きになった人がこの世のものでなかったら、どうするだろう。自分の命をすててでも、その人といっしょにいたいと思えるかい・・・?


いろは狐作

 
 

ずかんのさいしょにもどる